辰子姫


辰子姫

【たつこひめ】

【伝説】


編集中

●説明板:辰子姫伝説

 遠い昔、この地 院内村神成沢に三之丞という家があり、辰子という一人娘がいた。

辰子は幼いころから顔立ちが麗わしく、村人のあこがれの的であった。乙女になるにつれ、一層の優美さを加え、彼女自らも水鏡に映る色にうっとりと見とれて、遂には年をとっても変わることのない美しさを願うあまり、近くの大蔵山観世音に夜ごとのお詣りをするようになった。

 そして百夜の祈願が終る日、観世音のお告げに、院内岳を越えた北の方に霊泉の湧くところがあり、それを飲めば願いは叶うと教えられた。

辰子は翌日、友だちとわらびを手祈りながら山々を越え、高鉢森のほとりをさまよううち、澄み切った一筋の渓流を発見した。そこで見馴れぬ魚を追いまわし、捕えて焼いて食べたところ、俄かに深い渇きに襲われ、谷間へおりて清水を飲むうち、大嵐になって山々は崩れ、彼女はみるみる恐ろしい竜の姿に変わり、湖の主となって水中深く入っていった。

 田沢湖は古来 辰子潟と呼ばれ、永遠にかわらぬ美しさを求める辰子姫の哀しみを考えるように広がっている。


【たつこ像と漢槎宮】

 漢槎(かんさ)宮は浮木神社、潟尻明神とも呼び、藩士益戸滄洲により命名された。

辰子姫モチーフのたつこ像は彫刻家の舟越保武の作で、昭和43年建立。舟越氏は敬虔なカトリック信者で、像も聖母のような表情が見られる。

田沢湖の象徴的なスポットです。


【潟頭の霊泉】

 永遠の美しさを求め、院内の大蔵観音にお百度の願をかけた辰子が満願の日、神のお告げを聞きこの泉の水を喜びいさんで飲んだ。

飲めども喉の渇きは癒されず、気が付くと辰子の体は龍神へと変貌したと伝えられる。

三湖伝説が一つ、辰子姫伝説の幕開けである。


【辰子の鏡石】

 高鉢山(標高571m)の山道の中腹に現れる奇岩。

龍神になる以前の辰子が山菜採りなどで訪れた際、鏡のように磨かれた石を見つけ、石に向かい髪を結い化粧をしたと伝わる。

鏡と水、美しさを求めて湖の主になった辰子の変異を示唆するようなエピソードである。


でわwiki関連リンク

◆参考書籍

・菅江真澄全集第

・菅江真澄遊覧記第 巻

/菅江真澄 内田武志・宮本常一翻訳

国立国会図書館デジタルコレクション

・秋田叢書 巻

・真澄紀行/菅江真澄資料センター
・各種標柱・説明板


最終更新:2024/3/10