蘇民将来


蘇民将来

【そみんしょうらい】

【信仰】

上郷の小正月行事にて(にかほ市)
上郷の小正月行事にて(にかほ市)

 『備後国風土記』に記されているという神の名。もしくはそれに由来する護符の一種。

 

 この昔、備後国(広島県府中)に蘇民将来と弟の巨旦将来(コタンショウライ)という兄弟神がいた。

ある晩、スサノヲが一夜の宿を借りようと訪れたが、裕福な弟には断られ、貧しい兄の蘇民将来には迎えられて粟飯などを御馳走になった。

スサノヲはお礼にと、厄病を免れる方法を教えて去った。やがて疫病が流行りまもなくみんな死んでしまったが、その教えのとおりにした蘇民将来の娘は命を助かったという。

 

 以上の説話から、小正月の折に『★蘇民将来之子孫也』と書かれた護符を門前に貼り厄除けとする風習が広まった。

 

上郷の小正月行事にて(にかほ市)
上郷の小正月行事にて(にかほ市)

 筆者がにかほ市上郷の小正月行事で見たものはゴンギョウ』と呼ばれ、護符にヤナギ、ユズリ葉とタラの木札で組み立てられた門柳立てを家の前に立てていた。

現在は簡易的にユズリ葉のみを飾る家がほとんどだという。

 

 

 『秋田風俗問状答』によると、仙北郡北浦地域では蘇民将来の札を修験者が配り、家の外へ貼りだしておくという風習がある、と記録する。また、平田篤胤の『牛頭天皇歴神辯』という著書に由来を触れている。


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◆参考文献

・日本の神様読み解き事典/川口謙二 著

・秋田風俗問状答/金森正也 翻刻

・真澄紀行/菅江真澄資料センター
・各種説明板


最終更新:2024/3/11